Linux の起動および終了、ユーザー設定説明
たなかとしひさ (tosihisa@netfort.gr.jp) (lilo/lilo-doc
SubProject)
1999/12/25
このテキストは、Linux の起動および終了方法と、ユーザー設定の方法を、簡
単に説明したものです。対応しているディストリビューションは、 RedHat
Linux 5.2、Vine Linux 1.0 、Plamo Linux 1.4.x です。このテキスト
は、lilo(Linux インストール学習会・大阪) 主
催の、Linux インストールセミナー向けに作成したものです。
1. Linux 起動、終了
1.1. Linux 起動方法
Linux を起動する方法を説明します。ここでは、Linux を起動するために、
``LILO'' プログラム(ブートローダ)がインストールされていることを前提に
説明します。
Linux をインストールし、LILO ブートローダをインストールすると、 PC の
MBR (マスターブートレコード/システム起動領域)が書き換えられ、 LILO の
ブートプロンプトが表示されます。
PC 起動時、``LILO'' と表示されるのが、LILO プログラム(ブートローダ)で
す。 PC 起動時に、``LILO'' としか表示されない場合、シフトキーを押す
と、ブートプロンプトが表示されます。
LILO boot:
RedHat Linux や、Vine Linux では、LILO の起動で、上記のプロンプトが表
示されますが、他のディストリビューションで、単に ``LILO'' とのみ表示さ
れる場合は、シフトキーを押してください。
ブートプロンプトが出ている場合は、起動システム名 (インストール時に設定
している名前)と、それが Linux を示す場合は、起動パラメータを与えること
ができます。以下のキーやパラメータが使用できます。
LILO boot: [起動システム名] [起動パラメータ]
[起動システム名]
起動システム名を指定します。起動システム名がわからない場合、タブ
キーを押すと、起動できるシステム名一覧が表示されます。
[起動パラメータ]
起動させるシステムが Linux である場合、起動パラメータを指定でき
ますが、ここでは割愛します。
Linux を標準で起動するようにしている場合は、``LILO boot:'' の所で、単
にリターンキーを押せば、Linux が起動します。
1.2. Linux 終了方法
Linux を終了させるには、必ず root でログインし、shutdown コマンドを実
行してください。いきなりリセットボタンを押したり、電源を切らないでくだ
さい。最悪、ファイルが壊れる等の影響があります。
Linux が動いている PC で、いきなりリセットボタンを押したり、またはいき
なり電源 OFF をしないでください。
shutdown コマンドの使い方は以下の通りです。
shutdown [オプション] [停止(再起動)までの時間]
[オプション]
-h Linux を停止します。
-r Linux を再起動します。(リセット)
[停止(再起動)までの時間]
システム停止(再起動)までの時間を指定できます。 +5 と指定する
と、5分後に停止します。 ``now'' と指定すると、直ちにシステム停
止、再起動を行います。この値は省略することができません。
shutdown コマンド入力例を、以下に示します。以下は、必ず root で実行し
なければなりません。 `#' は、コマンドプロンプトです。
# shutdown -h now
上記の例では、Linux を停止します。
# shutdown -r now
上記の例では、Linux を再起動します(PC をリセットします)
shutdown が動き出すと、全てのサービスプログラムを停止し、安全に電源が
切れるように処理を進めます。電源を切るタイミングは、 Linux が最後に
``System halted'' と表示しますので、それ以降は安全に電源を切ることがで
きます。パワーマネジメント機能がある PC で、Linux カーネルの再構築を行
うか、あるいは始めからパワーマネジメント機能を有効にしている Linux
カーネルを使っている場合、shutdown の完了で、 PC の電源が自動的に OFF
されます。
2. ユーザー設定説明
2.1. ユーザー設定概要
Linux にユーザーを登録する場合の手順について説明します。
Linux は、マルチユーザ OS ですので、複数の人間(ユーザー)が、 Linux を
インストールしたマシンにログインし、それぞれ作業をすることが可能です。
従って、例え一人しかその Linux マシンを使わないとしても、その人間(=あ
なた)に対して、ユーザーアカウント(使用権限)を発行する必要があります。
Linux を初めとする、多くの UNIX システムには、そのマシンの管理者とし
て、``root'' (るーと)というユーザーが存在しますが、 root は、システム
の設定時などにログインし、通常の作業では root でログインしないように心
がけてください。
普段は root で作業せず、例え一人しか使う人間がいない場合でも、必ずユー
ザー登録を行い、登録したユーザーでログインし、作業してください。
ユーザー登録や、削除といった作業は、root でログインし行います。また、X
Window System についても、基本的な設定は、root でログインし、設定する
場合があります。
2.2. ユーザー設定方法
ユーザー設定方法は、同じ Linux でも、各ディストリビューションにより方
法が異なります。ここでは、RedHat Linux 5.2 と Vine Linux、また Plamo
Linux についてのユーザー設定方法を説明します。
RedHat Linux 5.2 では、GUI でのシステム設定ツールとして、
``linuxconf'' が導入されています。 Vine Linux も、RedHat Linux 5.2 が
ベースですから、同じように linuxconf を利用する事が可能です。Plamo
Linux の場合は、コマンドラインレベルでユーザー設定を行います。
2.3. linuxconf を使用したユーザー管理 (Vine Linux/RedHat Linux 5.2)
Vine Linux 及び、RedHat Linux 5.2 は、システム管理ツールとして、
``linuxconf'' ユーティリティが導入されています。このユーティリティを
使って、ユーザー管理(ユーザーアカウント作成)を行うことができます。
linuxconf を使用したユーザ管理方法を説明します。ここでは、 Linux をイ
ンストールした直後で、まだ X Window System を設定していない場合につい
て説明します。
linuxconf を使用するには、root でログインし、 ``linuxconf'' とタイプし
ます。
linuxconf のコマンド入力画面
上の図では、``linuxconf --text --mono'' と入力していますが、インストー
ル直後では、``linuxconf'' と入力するだけで良いです。
linuxconf が起動されます。
linuxconf 起動画面
起動画面から、``Config'' ``User accounts'' ``Normal'' ``User
accounts'' に進みます。各項目は、リターンキーを押すと、そこから1段下の
レベルに進むことができます。
``User accounts'' の所でリターンキーを押すと、現在登録中のユーザー一覧
が表示されます(下図参照)。インストール直後は、システムに関係する「疑
似」ユーザーのみ登録されています。
ユーザー登録画面
Linux をインストールした直後では、まだ実際にログインできるユーザーは登
録されていませんから、ユーザーを追加しなければなりません。ユーザーを追
加するには、タブキーを押して、[Add]の位置を反転させ、リターンキーを押
します。ユーザー登録画面になります。
ユーザー情報登録画面
ユーザー登録時は、以下の項目については、最低限入力する必要があります。
Login name
ユーザー名(3文字から8文字の英数字)
Full name
ユーザー名本名を、ローマ字で入れてください。
他にも、グループ名や、ホームディレクトリ、ログインシェル等も入力できま
すが、ここでは割愛します。特に意識しなくても、linuxconf が、システムポ
リシーに従い、自動的に設定します。
ユーザー名と、ユーザー名本名を入れたら、タブキーを押して、 [Accept] の
位置を反転させ、リターンキーを押してください。ユーザーが追加されます。
パスワード入力画面
ユーザーが追加されると、パスワードの入力処理に移りますので、パスワード
を入力してください。ただし、実際に文字を入力しても、表示はされませ
ん(MS-Windows と違って、`*' も表示させません。)が、文字自身は入力され
ていますので、キーボードだけをたよりに、間違いの無いように入力してくだ
さい。
Linux を始めとする、ほとんどの UNIX システムでは、パスワード入力で、文
字が表示されることはありません(`*'が表示されることもありません。)が、
文字自身は入力できていますから、注意してください。
パスワードを入力すると、確認で、再度パスワード入力画面になりますので、
キーボードをたよりに、もう一度同じパスワードを入力してください。
パスワード再入力画面
パスワードの再入力を行うと、ユーザーが登録されます。一度ログアウトし
て、登録したユーザーでログインできるか確認してください。
X Window System を起動した状態で、linuxconf を起動すると、 GUI にて上
記の設定をすることができます。基本的な方法は、上記で述べたのと、ほとん
ど変わりません。カーソルキーやリターンキーで選択を進めた部分が、マウス
で選択できるようになります。ここでは、 X Window System 起動時
の、linuxconf の起動画面を参考として示します。
[参考:X Window System 実行時の、linuxconf画面]
2.4. コマンドラインを使用したユーザー管理 (Plamo Linux / RedHat Linux
5.2 / Vine Linux)
``linuxconfを使用したユーザー管理'' で説明した、 linuxconf が利用でき
ないディストリビューションでは、コマンドラインによりユーザー管理を行い
ます。なお、RedHat Linux 5.2 や、Vine Linux でも、linuxconf を使わず、
コマンドラインを利用したユーザー管理を行なうことができますので、状況に
応じて使い分けるのが良いでしょう。
2.4.1. ユーザー登録(useradd)
ユーザー登録(追加)を行うには、``useradd''コマンドを使います。 useradd
コマンドの使用方法は以下の通りです。
useradd [オプション] 追加ユーザー名
[オプション]
-c コメント
コメント(通常は本名)を指定します。空白を含めたい場合
は、"Linux user" のように全体を "(ダブルクォーテーション)でく
くって指定します。
-d ディレクトリ
当ユーザのホームディレクトリを指定します。省略時はシステムポ
リシーに従って、自動的に設定されます。 (通常は/home/[ユーザー
名]になります)
-G グループ ID
-g で指定したグループ ID も含め、他にも所属させたいグループが
ある場合に指定します。複数のグループを指定したい場合は、`,'(
カンマ)で区切って指定します。
-g グループ ID (またはグループ名)
追加するユーザーが属するグループ ID を指定します。グループ ID
の代わりにグループ名も指定できます。
-s シェル
ログインシェルの絶対パス名を指定します。省略値は/bin/bashで
す。
-u ユーザ ID
ユーザー ID を指定します。0 〜 499 はシステムで予約されていて
使用できません。 (RedHat Linux/Vine Linuxの場合。) このオプ
ションを省略すると、現在使用されている最大のユーザ ID に1を加
えたものを割り当てられます。
追加ユーザー名
追加したいユーザー名を、3文字から8文字の間で指定してください。
2.4.2. ユーザー情報修正(usermod)
useradd コマンドで追加したユーザー情報を修正するには、 ``usermod'' コ
マンドを使います。usermod コマンドの使用方法は以下の通りです。
usermod [オプション] 修正ユーザー名
[オプション]
-l 新ユーザー名
新ユーザー名を指定します。
その他にも、-c、-d、-G、-g、-s、-u を指定することができます。こ
れらのオプションは、useradd と同機能です。
修正ユーザー名
修正したいユーザー名を指定します。
2.4.3. ユーザー削除(userdel)
登録しているユーザーを削除するには、``userdel'' コマンドを使います。
userdelコマンドの使用方法は以下の通りです。
userdel [オプション] 削除ユーザー名
[オプション]
-r ユーザのホームディレクトリを削除します。
削除ユーザー名
削除したいユーザー名を指定します。
2.4.4. パスワードの変更(passwd)
登録されているユーザーのパスワードを変更するには、 ``passwd'' コマンド
を指定します。passwd コマンドは、 root 以外のユーザーでも実行できます
ので、定期的にパスワードを変更しておくのが良いでしょう。
passwd [ユーザー名]
ユーザー名を指定できるのは、root のみです。 root のみが、他のユーザー
のパスワードを変更できます。他の(一般の)ユーザーは、単に ``passwd'' の
みタイプしてパスワードを変更します。
passwd コマンドを実行すると、対話形式で、新しいパスワードと、新しいパ
スワードの再入力を聞いてきますので、それぞれ入力すれば、新しいパスワー
ドが登録できます。
2.5. ユーザー設定諸注意
ユーザー登録時の注意事項を記載します。
1. ユーザー名に漢字を含めることはできません。
2. RedHat Linux 5.1 以前のシステムには、linuxconf は標準でありませんの
で、 control-panel から usercfg を起動する必要があります。
3. RedHat Linux 及び、Vine Linux では、UPG スキームが導入されており、
ユーザー削除の後、同じユーザー名を再度登録しようとすると、エラーに
なる場合があります。その場合、``groupdel ユーザー名'' を実行し、再
度ユーザーの登録を行ってください。
4. パスワードになる文字列には、以下の制限があります。 (RedHat Linux /
Vine Linux の場合。)
o 6文字以上で、2つ以上の英文字および1つ以上の数字もしくは特殊文字(
記号)を含むこと。
o 現在のパスワードと3文字以上異なること。
o 現在のパスワードを反転したり、ずらしたものではいけません。
3. この文章について
この文章は、たなかとしひさ(tosihisa@netfort.gr.jp) (lilo/lilo-doc
SubProject)さんが作成したuserconf.htmlを、大浦
真(Makoto.Ohura@mb4.seikyou.ne.jp) (lilo/lilo-doc SubProject)がSGML化
しJF-MLでの意見を参考にして校正しました。
また、この文章の著作権はGPL2に準じるものとします。 GPL2に基づいて変
更・再配布できます。
lilo-docはlilo(Linuxインストール学習会・大阪)
のSubProjectで、 liloのセミナー等で使われた
各文書群を統一し、一元管理することを目的に活動しています。
(このセクションの文責:大浦)